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【WJ】短編

第17章 【甘】君と描く未来/烏養繋心


 久しぶりにスーツに袖を通し、お見合いの席に座る俺。春高宮城県代表決定戦を終え、恒例のカンパのお願いをする為、OB会の実家に電話をした時お見合いを勧められた。勿論断っていたのだが、電話の相手が悪く、余りのしつこさについ折れてしまい、こうして今見合いの席に座っている訳だ。特定の相手がいる訳でもない。そしてまだ結婚なんて考えてもいなかった為、気分が重かった。そんな俺に対し、絶対気に入ると思うわよ、なんてオバサン特有の甲高い笑い声をあげながら紹介者であるオバチャンはそう言った。


「遅くなってしまい申し訳ありません。」


 そう言って約束の時間十分前にやってきたお見合い相手。写真で見た時よりも幼く感じた。俺より若いって事もあるだろうが、着けた着物が若々しいと言う意味ではないが、お見合いというよりも、成人式と言った方がしっくりくる。
 お見合い相手である彼女、逢崎遥香さん。歳は俺より二つ下。製薬会社に勤務をしているという彼女。若いのに話し方や、食事の取り方は随分としっかりしていて、ついその綺麗な動作に目を奪われた。学生の頃から俺の周りにいる女達はどちらかというと男勝りでガサツな奴ばかりだったせいもあるからより一層そう感じたのかもしれない。


「それじゃああとは若いお二人でごゆっくり。」


 なんてお決まりの台詞を言って出ていったオバチャン。彼女が来てから殆どオバチャンが喋っていた為、そのオバチャンが居なくなると室内は途端に静かになった。この気まづい雰囲気をどうにかしなければと思うが、普段相手にするのは年寄りかバレー部の連中。彼女なんて長いこといないし、何を話していいか分からねえ。そんな事を考えていると、先に口を開いたのは向こうだった。


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