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【WJ】短編

第15章 【甘】弱虫の一歩/西谷夕


「それじゃあ今日はご馳走様でした。」


 楽しい時間も終わり、別れの時。


「遥香、もう遅いし夕後ろに乗せてってやんなよ。」
「え?」
「メット二つあんでしょ?」
「あるけど…」


 それって、夕君が私のバイクの後ろに乗るってことで、くっつかなきゃいけないってことじゃない。そんな恥ずかしい事出来るわけない。無理、絶対私緊張して電柱にでも突っ込みそう。


「いや、こういうのは男が送ってくもんなんで、俺送ってきます。」


 夕君のその一言にまた一気に顔が熱くなった。夕君の一言一言がカッコよくて、ドキドキしてしまう。


「でも、バイク押して行くの重くない?」
「冴子ちゃん、バイク置いていってもいい?」
「別にいいけど。」
「夕君、お願いしてもいいですか?」
「勿論。」


 夕君と歩いて帰れるならその方がいい。バイクに乗ってたら喋れないし、折角二人っきりで帰れるなら、隣を並んで歩きたい。


「おじゃましました。」


 冴子ちゃんと龍君に別れを告げ、暗くなった夜道を夕君と二人で歩く。緊張して上手く喋れない私は、夕君の話に相槌をうつだけ。


「今日はわざわざ俺の為にありがとうございました。嬉しかったです。」
「ううん!私がやりたくてやったことだから!あ!あのね、夕君、」


 鞄から綺麗に包装をしたプレゼントを取り出し、夕君に渡した。


「お誕生日おめでとう。」
「ありがとうございます!」


 女子からプレゼント貰うの初めてだ、なんて言った夕君の言葉がまた嬉しかった。それって、今まで彼女とかいなかったってことかな?夕君カッコいいのに、周りの女の子は見る目ないな、なんて思った。でも、こんなにカッコいいんだから、遠くない未来、夕君の隣を歩く女の子が現れるかもしれない。…嫌だな。



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