第5章 深遠の記憶
「じゃあ俺がフーフーしてやるよ!」
そう言ってさとしは僕のお皿からおいもを一つフォークに刺した。
ふーふーって息を吹きかけて、僕の口元に差し出した。
「ほい、いいと思うよ?」
そう言ってにっこり笑った。
「ありがとう…」
こんなことされたことがないから、僕はちょっとだけお口を開けたら、おいもをずぼっと僕のお口に押し込んだ。
「ふがっ…」
「おい!智っ…」
ドクターが慌てて立ちあがった。
「大丈夫か?ニノ」
「ん…う…ん」
とんとんとドクターは背中を叩いてくれた。
なんとか飲み込むと、口の中にほんのりあったかい味が残った。
「おいしい…」
「ほんと!?これはねえ、潤の特製調味料で味付けしたんだぜ!」
さとしがそういうと、じゅんとまさきが笑いだした。
「な、なんで笑うんだよおっ!」
じゅんが笑いながらさとしの頭を小突いた。
「お前、学習しろよっ!」
「智、カズにも同じ事言って笑われたのに…」
じゅんとまさきはゲラゲラ笑い続けた。
智は口を尖らせてぷいって横向いちゃった。
ドクターは苦笑いしながらご飯を食べてる。
こんなご飯初めてだったから、僕はなんだかしあわせだった。