第5章 深遠の記憶
目が覚めたら、まさきの腕の中にいた。
あったかい…
おもわずまさきの胸板に顔を擦りつけた。
人間ってあったかいなあ…
「ん…?カズ…?」
「おはよう」
「あ…ニノ?」
「うん?」
まさきは暗い表情になった。
「どうしたの…?」
「ううん…なんでもないよ」
そう言って僕をぎゅっと抱きしめた。
その後、水道で顔を洗って着替えたら、朝ごはんになった。
まさきに連れて行かれた部屋は、ドクターとじゅんとさとしが居た。
「おはよう…」
そういうと、みんな僕の顔をみた。
「ニノ…?」
「うん」
さとしは僕に駆け寄ってくると、僕を椅子に座らせた。
「ご飯食べれる?」
「うんっ」
まさきが僕の机にご飯を置いてくれた。
「……」
「どうしたの?ニノ」
「ドクター…」
「ん?ああ…」
ドクターは僕のご飯を覗き込んだ。
「すまない。言うの忘れてた。ニノは冷めたものしか口にしたことがないんだ」
「ええっ…」
「火傷とかしたら事だからね…」
そう言ってドクターは僕の顔を見た。
「冷めるまで待とうね」
「うん」
みんながご飯を食べているなか、僕は冷めるのを待っていた。
ぐううってお腹が鳴った。