第5章 深遠の記憶
「”スエード”…本当なのか!?」
「すまん…今まで言わなくて…」
翔は皆の顔を見て、頭を下げた。
「そ、りゃ…言えないだろうな…」
「スエードってなに?」
智が潤に聞いてる。
「政府の…諜報機関の通称だ…いくつもあるけど、スエードは反政府的な立場で動いている唯一の諜報機関なんだ…」
「ん?え?」
「だから…秘密裏にいろんなことを調査するところで…そういうの、政府はいくつも持ってるんだ…翔はその中でも、政府の政策に否定的な立場のところに居るんだって…」
呆然としながら、それでも潤は喋ってる。
「潤…だから、俺は政府の人間だが立場はお前と一緒なんだ」
「うん…スエードは、俺たちにも色々情報を提供してくれた…感謝してる…」
「え…?じゃあシュウは…?本当に翔の弟なの…?」
「シュウはスエードの一員だ。シュウはコードネームで、本名じゃない」
「ああ~…これで納得がいったよ…」
潤は額に手を当てて天を仰いだ。
「シュウの情報量は半端じゃない。それに絶対B地区の人間じゃ入手できないようなのも混じってた」
「ああ…少しでも役に立てばと思って…」
智が翔に近づいて腕を掴んだ。
「翔って…コードネームなの…?」
翔の瞳が揺らめいた。