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SHELTER【気象系BL小説】

第5章 深遠の記憶


「両親は?」
「両親…?」

父さんは…随分会ってない…母さんは…
母さんは…母さんは…

「父さんは…どこかに行った…母さんは…死んだ…」
「そう…カズは人間だね?」
「なに…言ってるの…?人間だよ」

”お前は…ニノだ”

「ちがう…俺はニノ…」
「え?」

”あんなところに行きたくなかったら、いうことをきけ”

「俺は…ニノ…」
「お前はニノじゃないよ…今日からカズだ」
「…え…?いいの…?」
「うん」

翔が微笑むから、安心して…

「和也」
「なあに?」

呼び方が変わったことにも気づかなかった。

「…やっぱり…」

翔が顔を伏せた。

「え…翔?なに言ってんだよ」

潤が翔に近づいてくる。

「今、ここにいるのは…歌手のKAZUだ」
「え…?なに言ってるの…?」

智も近づいてくる。
俺の腕を掴む雅紀の手が震えた。

「ニノは死んだんだ…」
「それは…さっきニノちゃんが言ってた…」
「正確には死のうとしたんだ。だけど失敗した」

翔は顔を手で覆った。

「こんな怖ろしいことが…」

そのまま翔は黙りこんでしまった。

「…どういうことだよ…翔…」

雅紀の声が震えてる。

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