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SHELTER【気象系BL小説】

第1章 Area B


「それな、ここで作ったんだ」
「えっ…そうなの?」
「別に農家じゃないけど、やろうと思ったら結構なんでもできるもんだぜ?」
「…そっか…」

智はまたオレンジみたいなフルーツを口に放り込んでくれた。

「すっぱ…」
「ふふ…でも身体にいいらしいよ。翔がそう言ってた」
「…さっきから出てくる翔って誰?」
「医者だよ。あ、でも言わないでね?A地区の人間なんだ…」
「え?」
「もしもニノが記憶を取り戻しても、翔のことは言わないでね?」
「…うん…わかった…」
「俺たちのこと、心配して時々こっちに忍び込んでくるんだ」
「そんなことできるの?」
「ふふ…ニノだって、こっちにこれたじゃない」
「あ…」
「抜け道は、あるんだよ」

智はそう言うと、トレイを持って立ちあがった。
薬のシートを俺に渡すと、水の入ったコップを傍らのテーブルに置いた。

「じゃあ後でまた。寝てなよ?」
「うん…ありがとう」

ニコっと笑って智は部屋を出て行った。
素直に、手渡された薬を一錠出して水で流し込んだ。
ベッドに横になると、頭が少し痛んだ。
手はまだじくじくと痛む。

思い出せるのだろうか…

どうして俺はB地区なんかに入ったんだろう。
危険なはずなのに…

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