第4章 Knockin' on Heaven's Door
僕はなんで生まれたの?
僕はなんで生きてるの?
『N1N0、食欲がありませんか?』
「ん…?ううん…考え事をしていたの」
『今日はいつもより3分食事の時間が長いです』
「わかったよ…身体の具合が悪いわけじゃないから」
『わかりました』
ガラスの向こうには、白衣を着たドクターがいる。
入れ替わり立ち代り、僕のこと見てる。
話しかけてくることもあるけど、それはスピーカー越しの声で。
具合が悪くなっても、僕に触れるのはトゥエルブだけ。
トゥエルブの前はイレブン…イレブンの前はテン。
記憶にあるのは…セブンというヒューマノイドから。
僕には…誰も触れない。
『N1N…』
「え?」
急にトゥエルブの動きが止まった。
「どうしたの?トゥエルブ」
『ガ…ガ…』
無表情に口だけ動いている。
「トゥエルブ…」
手を伸ばしてトゥエルブに触れたら、熱い。
熱暴走を起こしてるんだ…
「ドクター」
『なんだい?』
ガラスの向こうにいる若いドクターが返事をする。
「トゥエルブ…壊れちゃったみたい…」
トゥエルブに触れた手を離すことができなかった。
熱かった。
だけど…もしかして、これがぬくもりに近いのかな…
『回収するから、ニノはベッドルームへ』
そう聞こえたけど、僕はトゥエルブに抱きついた。
「さようなら…トゥエルブ…」