第3章 エニグマ
「わっ…笑うなよっ…」
「まさき…?」
ニノちゃんが、俺を見つめる。
その目は生きてるけど、ガラスみたいな目で…
人形…
生きてる人形…
そう人形みたいなホムンクルス…
俺はニノちゃんをベッドに寝かせて布団を掛けた。
「ちょっと無理したみたいだから、寝られる?」
「うん…まさき…」
そのまま目を閉じてニノちゃんは眠ってしまった。
「こいつ…ニノじゃねえな…」
「ああ…俺達が最初に出会ったニノとは別人だね…」
「ニノちゃんの頭の中、誰か居るって言ってた…」
潤と智が俺を見た。
「頭の中に誰かいるって…怯えてた…」
「その”誰か”が、今出てきてるニノか…」
「…この子…生まれたばかりの子供みたいだね…」
智は呟いて、悲しそうにニノちゃんを見つめた。
「最初のニノは”ニノじゃない”って言ってたね…」
「そうだな…これで繋がったな…最初のニノはニノって名前じゃないんだ…」
「じゃあ…誰なんだろう…潤」
「さあな…翔がなんらかの答えを持ってるんじゃないか?」
ややこしいから、最初のニノには智がつけた芸名の”カズ”と呼ぶことにした。
N1N0…
この子の名前は…ニノ…俺たちはそう決めた。
製造番号…そんな恐ろしいものを隠した名前だけどね…