第3章 エニグマ
「何いってんの…?ニノ…」
智が立ち上がる。
「ここはどこ?サーティーンは?」
「え…?」
「あなたたちは人間なの?」
「ニノちゃん…」
智がニノちゃんの手を握った。
包帯の手からぱらりと布が落ちた。
「これ…」
智が目を見開いた。
「治ってる…」
「えっ…」
潤と俺が覗き込むと、そこにあるはずの傷はなくなっていた。
「ニノ…いや、N1N0だっけ…?」
「うん…あなたはだあれ?」
「智っていうんだよ。人間だよ。こっちは雅紀、こっちは潤っていうんだ。よろしくね」
「うん…さとし…まさき…じゅん…」
ニノちゃんはおずおずと智の顔に手を伸ばした。
頬を手で包むようにすると、暫くそのまま動かない。
「…どうしたの?ニノ」
「温かいね…触ったことがなかった。人間に…」
「そっか…いいよ。好きなだけ触って?」
「いいの…?博士に怒られないかな…」
「大丈夫だよ。ここには博士は居ないから…」
ニノちゃんは微笑んだ。
でも…微笑んでいるんだけど笑っていない…
笑っている表情を作っているんだ。
まるで、ヒューマノイドみたいに。
急に智がニノちゃんの脇腹に触った。
「智!?」
ニノちゃんが身体を縮めるのにも構わず、智はニノちゃんをくすぐり始めた。