第3章 エニグマ
しかし、ニノちゃんの後にはホムンクルスの赤ん坊を作ることはできなかった。
悉く失敗し、なぜニノちゃんだけが成功したのかは誰もわからなかった。
わからないだけに、ニノちゃんの神秘性は増して、そしてますます崇拝されるようになった。
”今日は算数の上級問題が解けました”
”今日は漢字検定1級に合格しました”
”今日は数学の教科書の問題を全て解きました”
”今日は大学の入試問題でハイスコアを出しました”
”今日は…今日は…今日は…
アースノール社はホムンクルスの成功により、日本だけでなく海外でも成功を収めて、その企業体は膨れ上がっていく一方だった。
アースノールの関連企業に勤める者も多く、経済界・財界・政界に大きな影響力を持った。
だからアースノール社のやることに異を唱えるものはなかった。
今日は…今日は…今日は…
毎日のように更新されるホムンクルスの赤ん坊の情報は、日本中に行き渡っていた。
でも、誰も顔を知らなかった。
その姿を見たものも居なかった。
だから存在そのものを疑う人も居た。
決まってそう公言する人は消えるという噂で、誰も口にはださなくなっていたけど…
でも…本当に居たんだ。
俺達の目の前に横たわる…この人が…