第3章 エニグマ
「僕の親だよ…ヒューマノイド13号…」
「え…?」
「おかしいでしょ?僕を育てるために13個も作ったんだよ…」
「ニノちゃん…」
試験管の中で生まれて…育てたのがヒューマノイド…?
…徹底的に…純粋培養なんだ…
ぞっとした…
背筋に冷たい汗が流れた。
ニノちゃんは人間なのに…人間じゃない…?
ここにいるのは、お人形みたいなニノちゃんで…
昨日まで居たニノちゃんじゃない
ニノちゃんは…もっと人間らしい
もっと人を恋しがって…怖がって…
こんな薄ら笑いを浮かべてる人形じゃない
「誰なんだ…?」
なにも答えない背中に、問わずにはいられない。
「あんた…誰なんだよ…」
人形は俺を仰ぎ見て、笑った。
「僕はニノだよ。N1N0…皆、面倒だからニノっていうんだよ…」
くすくす笑って、また傷を撫でる。
「僕はバイクといっしょ…製造番号しか名前がない」
製造番号…
頭のなかが、ぐちゃぐちゃで…
もう何を考えたらいいかもわからない。
「雅紀!ニノいたの?」
智の声が後ろから聴こえても振り返ることもできなかった。
「雅紀?」
肩を叩かれてやっと振り向いた瞬間、大きな音が小屋に響いた。