第3章 エニグマ
次の日、起きるとニノちゃんはベッドに居なかった。
慌てて起きだして探すけど、校舎の中にはいない。
智と潤を叩き起こして一緒に探した。
どこ行ったんだ…あんな泣いていたのに…
校庭に出ると、フェンスに沿って走っていく。
名前を呼びながら、キョロキョロしてたから何度もコケた。
服が泥々になったけど気にならなかった。
「ニノちゃんっ…」
潤がニノちゃんが乗ってきたバイクを置いている場所。
フェンス際にある、薪小屋の扉が開いている。
そこにニノちゃんは座り込んでいた。
「探したっ…なんで黙って居なくなるの…」
ニノちゃんは虚ろな目で小屋の中にあるバイクを眺めてる。
「ニノちゃん…?どうしたの…?」
「僕のバイク…」
「え?」
「側面に傷が付いちゃった…」
別人のようなしゃべり方だった。
「ニノちゃんどうしたの…?」
「これね…大事にしてたの…いつも乗るの禁止されて…」
「ねえ…どうしちゃったの…」
「折角、免許取ったのにね…乗れなかったの」
ふらふらと立ちあがってバイクに近寄る。
しゃがむと、側面の傷を悲しい顔で撫でた。
「黙って乗ったから、サーティーンに怒られる…」
「サーティーン?」