第3章 エニグマ
深夜、ニノちゃんの世話は俺が引き受けて、智も潤も部屋に引き上げていった。
汗に濡れたパジャマを着替えさせるのを忘れていて、布団を剥いだ時、ニノちゃんは目を覚ました。
「雅紀…」
「あ、目が覚めた?今、着替えをしようと…」
「雅紀っ…」
ニノちゃんが俺に飛びついてきた。
ぎゅうっと抱きついて、ニノちゃんは震えた。
「…どうしたの?」
「怖い…怖いよ…」
「何か、思い出したの?」
ぶんぶん頭を振って否定する。
「じゃあ、なにが怖いの…?」
「頭の中に…誰かいる…」
「え?」
「怖い…どうして…?」
「どういうことなの?」
「わからない…俺…なんで…?」
「落ち着いて…」
細い肩を抱きしめると、ニノちゃんはしがみついてきた。
「雅紀…俺、ここに居たい…戻ったら…」
「戻ったら?」
「…される…」
「ニノちゃん…?」
最後に呟いた言葉は聞こえなかった。
震えるニノちゃんにどう言っていいのか、わからない。
なにに怯えているんだろう…
「雅紀は温かい…」
胸に顔を埋めて、泣いている彼を…
ニノちゃんへの気持ちに気づいてしまった俺は、どうしていいのかわからなかった。
恋なんて…ニノちゃん相手に恋なんて…