第20章 The branched story2
「あのときは確か…」
「裏の薪小屋に居たんだよな…」
智と潤がそういうと、こっちを振り返った。
「行ってみよっか…」
「ああ…」
裏庭に出て、薪小屋の前に立つ。
ドアが少し開いてた。
でも、中にニノは居なかった。
「どこ行ったんだろ…」
智がいよいよ不安になったみたくて、早足になってる。
「保健室…いるかな…?」
校舎のなかにまた戻って、保健室に向かった。
途中の教室を手分けしながら開けて見たけど、ニノの姿は見えなかった。
学校の保健室だったところは、今は翔が診療所代わりに使ってる。
病人が出たときは、ここで処置することになってる。
「やっぱいねえな…」
潤が一通り見渡して、戻ってきた。
「三階、行ってみようか」
智が駆け出していった。
潤と翔は、その後を早足でついていく。
昔、シェルター代わりにしていた角の部屋は、今はもう戸棚を取ってしまって、倉庫になってる。
その部屋を覗きながら、先に走っていった智の姿を探した。
貸し部屋にしていた教室にも、ニノの姿は見えなかった。
「どこ…行っちゃったんだろ…」
智がべそかきそうな顔をしてる。
潤が智の頭をポンポンと撫でて、翔の顔を見た。