第20章 The branched story2
「なあんだよ…雅紀…」
「ん~?なあんでもないよ…ね?智」
俺と一緒に、ふたりを眺めてた智もにやにやしてる。
「ん~なあんでもないよ…ね?雅紀」
「ね~?」
ぶすっと潤はまたグランドに顔を向けた。
「あれ?ニノは?」
「あれ?さっきまで居たのに…」
智がキョロキョロとあたりを見渡す。
翔が俺の顔を見た。
ちょっと険しい目をしていた。
「…ちょっと見てくる…」
ちょっとだけ、朝から元気がなかったんだよね。
でも熱を測ってもなかったし、ニノは大丈夫だって言うし。
さっきまで、俺達と一緒にクレーン車が来るのを眺めてたし…
ニノの部屋に行ってみたけど、居なかった。
一階のいろんなとこ探してみたけど居なくて。
みんなで探すことになった。
「なあんか…前にもこんなことあったよなあ…?」
潤が俺の前を歩きながら、ボソッと呟いた。
「ふふ…懐かしいこと言うじゃん…」
智がぎゅっと潤のTシャツの背中を掴んだ。
「…随分、昔な気がするね…」
「ああ…だってニノが来たばっかりの頃だもんな…」
隣を歩いてた翔が俺を見た。
翔はあのときA地区に居たから、知らないんだ。
「そんなことあったんだ?」
「うん…ちょうど、N1N0が表に出てきたとき…」
「ああ…そうだったんだ…」