第20章 The branched story2
「よおーし!ストップ!」
それから数年後。
校舎がだいぶやばいことになって、少し手を入れることにした。
日本国から機材を借りたり材料を買い付けて、城島さんが先頭に立って、工事は始まった。
クラブの部分と、俺達の居住部分。
それぞれちょっと手を入れたり、補強したりする。
シェルターだったところは、埋めることになった。
…もう使わないしね。
建物の土台の部分だから、いつまでも空洞にしておくと危ないしね。
今日は、クレーンでグラウンドだったところに資材を運び込んでもらってる。
「ええよ!じゃ、次行こうか~!」
城島さんの元気な声がグランドから聞こえてくる。
潤と翔は、校舎の中からそれを眺めてる。
「いよいよかあ…」
「なんだよ。嫌なの?潤」
「いや、そういうわけじゃないけどさ…」
「あ。センチメンタルってやつですか?」
「…悪い…?」
窓枠に置いた潤の手を、翔がきゅっと握った。
「…悪くないよ…ありがと、潤…」
「うん…」
あのシェルターは…
翔が俺たちのために考えて、作ったもので…
翔と潤が結ばれた時期に、みんなで作ったもので…
だから、潤がちょっと切なくなっちゃってるのも、わかる気がする。
ふふっと笑うと、潤が振り返って睨みつけてきた。