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SHELTER【気象系BL小説】

第20章 The branched story2


「あ、ありがと…」

ちょっとオドオドしながら、スーツの裾を掴んで頭を下げた。
一層、客たちは囃し立てた。

「ニノと一緒に歌えよ!智!」
「えっ…無理だよ…練習してないもん」
「ケチくせーこと言うなよ!」

くすくす笑いながら、ニノがマイクをポンポンと叩いた。
スピーカーから、ボワンボワンと音が聞こえて、客はまたニノの方を向いた。

「…後で歌うよ、智も…とりあえず、僕の作った曲聴いてね…」

スポットライトのなかで、ニノが微笑む。

少し客席が静まったら、静かにアコギを弾き出した。

…それは、バラードだった。

生きていた頃のKAZUの歌には、なかった曲だった。






夢を見たよ

あなたに 会いたいと
そう思う僕の心は
地下の部屋に 埋められてる

今はまだ
この幻の海で

今はまだ
この安全な部屋で

深淵の記憶を辿りながら
あなたとひとつに

時が来たら
天国の扉を叩こう

ここから旅立とう

それまでは
エニグマのまま
あたたかく包まれて

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