第20章 The branched story2
お母さん…
僕は人を殺したよ
銃を頭に突きつけて
引き金を引いたら
死んじゃったんだ───
古い歌が頭に流れてくる。
あれは…和の好きな歌…
とってもとっても古いけど。
今でもA地区のバンドがカバーしたりしてる。
潤も翔も…好きだって言ってた…
「ん…もっと…」
「ニノ…」
雅紀の熱い唇が気持ちよくて。
もっともっと
もっと欲しい
「あ…」
雅紀の手を握って、僕の膝に座らせた。
「ニノ…?」
「ねえ、もっとだよ…」
あの日…
和が殺したのは
その日までの、俺
フレディが殺したのも…
それまでの彼だったんだろうか
雅紀の指先をべろりと舐める。
僕の唾液で光る指を根本から舐め上げると、雅紀の表情が変わった。
この瞬間が…好き
ガラリと獣みたいな…オスの顔をする。
体温が、一気に熱くなる。
そして、噛み付くような
深い深いキスをくれるんだ
どうでもいいことなんだ
みんなわかってる
そして…僕にとってもどうでもいい
それでも風は…流れる方に吹いていく
雅紀の背中に腕を回すと、ぎゅうっと抱きつく。
服の間から、雅紀の匂いが漂ってくる。
今日は、香水のにおい、強いな…
って、さっきつけたばかりなのか。
夕方お風呂入ったから…