第20章 The branched story2
「あんま、雅紀をいじめんなよ…」
潤が笑いながら食堂に入ってきた。
「いじめてなんかないよお~」
「またそうやって…最近、すっとぼけんのがうまいなあ?ニノ」
「えへへ…たぬき?」
「立派なたぬき親父になれんぞ」
嬉しい。
徳川家康だ!
「はいよ。あちぃから気をつけろよ」
お砂糖のたっぷり入った、生のハーブティーを淹れてくれた。
最近、お砂糖もこうやってハーブの苗も入ってくるから、ちょっと贅沢なお茶が飲めるようになったんだ。
熱帯気候で高温多湿な日本じゃ、ごちそうみたいなお茶。
「いただきまーす」
熱くて甘くて、スーッとするお茶がスルスルと喉を通っていく。
「おいしーい!」
「美味いなあ…ねえ、潤、これお店で出さない?」
このお茶は、潤の特製ブレンドで、作り方教えてくれないんだよね。
「ええっ…茶なんか飲むヤツいる?」
「下戸が店に来るようになる」
「…なんか商魂逞しくなったな…雅紀…」
「そう?だって、もったいないんだもん…こんなに美味しいのに…」
雅紀が褒めると、ちょっと照れくさそうに潤は横を向いてしまった。
あ、可愛い。
ごほん、と咳払いをした。
「で?さっきの話し」
ちょっと立ち直って、潤は僕の顔を見つめた。