第20章 The branched story2
「でも、切ないとも違うって、ちょっと近いものがあるのか?」
潤がブレーキを掛けて、ギアをパーキングに入れた。
いつの間にか、学校に着いてた。
雅紀が車の後部座席のドアを開けてくれて、僕たちは車を降りた。
「んーー!」
潤が手を上に上げて、伸びをした。
「んーーーー!」
「ん~~~~!」
僕と雅紀も、一緒に伸びをした。
「真似すんなよな」
潤が笑いながら僕の頭を撫でた。
「で?”キュ”は”切ない”に近かったの?」
「…そうだね…近い感じ。でもどうして切なくなるのかわからないから、なんか違う感情だと思ったの。これに名前があるのかなあって思って…」
…こんなとき、僕の中の和は、わざと教えてくれない。
僕が自分で答えを見つけないといけないんだって。
ちぇ。けち。
3人で並んで歩いて、学校の玄関に入った。
手を洗ってから、まっすぐ食堂に入ると、潤が給食室でお茶を淹れに行ってくれた。
「ニノ、お疲れ様」
雅紀と並んで、奥のソファに座った。
いつも、出かけると雅紀はこうやって僕のこと労ってくれる。
「疲れてないよお…今日は長瀬さんから貴重な話聞けたし」
「あっ…もお…翔に言わないでよ?」
雅紀が慌ててるから、おかしかった。
「言わないよお…でも、必要がある時はちゃんと話すよ?」
「まあ…その時は、俺が話すから…」
ちょっと雅紀はショボショボしてた。