第20章 The branched story2
「えへ…へ…」
そっかあ…僕、人間なんだぁ…
だから羨ましいって思うんだ…
思ってもいいんだ!
「じゃ、じゃあさ!」
「ん?」
雅紀が微笑みながら、僕の目を覗き込んだ。
「僕ね、今日わからないことがあって…」
「なあに?」
「智が緊張してたとき…あ、雅紀もずっと慌てて…なんていうの…?てんぱってた?」
「あ、ああ…うん…そうだね…」
ちょっと恥ずかしそうに、雅紀は目を逸らしてしまった。
「んもう!違うの!雅紀が一緒にてんぱってたのは、わかるの!一緒に緊張してたんでしょう?」
「ま、まあね。緊張…してた…よ?だって、智が緊張してるし…鼻血まで出すし…」
「ね?ね?それね、僕にもわかるの!でも…なんだろ…」
ぎゅっとTシャツの胸のとこを握った。
「僕ね…ずっとここがキュってしてたの…」
「え…?胸?」
「そう。なんかねえ…切ない、とも違う…なんか、キュっと締め付けられる感じがしたの。これ、何だと思う?」
「えっ…ええ?」
雅紀はちょっと戸惑って、潤の方を見た。
潤は運転しながら、うーんと唸ってる。
「智の姿を見て、キュっとしたの?」
「うん…なんていうか…緊張ともまた違ったの…」