第20章 The branched story2
「松岡さんも最初はそのつもりだったらしいけど…でも、なんかね…だんだん、本物の恋人になっていったっていうか…」
「へえ…」
「俺がこっちに来た頃には、立派に夫婦に見えたよ…」
「そんなに?」
「だからね…長瀬さんはずっとこっちのこと勢力争いに巻き込まなかったのは、松岡さんの愛した智が居るからってさ…」
言いながら、なぜか雅紀が照れてる。
「へえ…で?」
潤が肘を僕の肩に載せながら、更に先を促した。
「でって…もう終わり!」
「…雅紀は?」
「へ?」
「だって…潤が来た時、既に雅紀と智って家族になってたんでしょう?だったら、その夫婦に雅紀が割り込んでいったの!?」
「ちょっ…ニノ!声がでかいって!」
慌てて雅紀が僕の口を手のひらで塞いでしまった。
「ぐふう…」
「もおっ…いいでしょ!?終わりっ…」
「くくく…」
「うわ、びっくりした…」
潤が後ろを振り返ると、長瀬さんがいつの間にか後ろに来てた。
「教えてやろうか?」
「な、長瀬さんっ!!」
「こいつ、B地区に来た頃は毎日毎日泣いててなあ…」
「やだっ…ちょっと!」
慌てて僕のこと離して、雅紀は長瀬さんに飛びついていく。