第20章 The branched story2
なんか翔と潤がギャーギャー言ってるけど、僕は上に乗ってる雅紀がどいてくれないから、息ができなくなってくる。
「ど…どいて…雅紀ぃ…ぐるじいぃ…」
「あっ…ごめんねっ?ごめんねっ…?」
やっと気づいてくれた雅紀は、さっと僕から退くと、前の座席に僕を座らせてくれた。
「どっか怪我してない!?ごめんねっ…ごめんねっ…」
「ん…だいじぶ…」
なんとか大きく息を吐いて吸ってをしてたら、苦しいのも痛いのも和らいできた。
「ああ…もう俺、だめだぁ…」
勝手に盛り上がって、勝手に雅紀は撃沈し始めた。
「…なんで雅紀がそんなにテンパってんだよ…」
後ろからの翔の声は、ちょっと笑いを含んでる。
僕も、大いにそれには同意だ。
「いや…だって…智の家族だよ…?緊張するじゃん…」
「雅紀が会うわけじゃないだろ…」
くくくと笑うと、ぺちっと後ろから、雅紀の頭を叩いた。
「そんなに動揺したら、智に伝染るだろうが。ちったぁ、落ち着け」
「あ…あぁ~…ごめんね?ごめんね?智っ…」
今度は、智に向かって全力で謝りだした。
忙しいなあ…
「ん”…た”い”し”ふ”…」
鼻を押さえられてる智の声が聞こえた。
ちらっと後ろを見ると、翔に鼻を押さえられたまま、情けなーい顔をしていた。