第20章 The branched story2
「わーーーーー!どいてどいて!」
智のカバンを持って、外で待ってたら、後ろから騒がしい物体が近づいてきた。
と、思ったら僕の体は、車の中に突き飛ばされてた。
「ふぁっ!?」
「これっ!智!濡れタオル!」
「雅紀!?」
突き飛ばされた衝撃で、バンの座席の前の床に僕は倒れ込んで、その上に雅紀が馬乗りになってる。
後ろの席に座った翔と智が目をまんまるにして、僕たちを見ている。
「鼻の付け根、冷やすの!興奮してでちゃったんだから、冷やさないと!」
「お、おう…」
お…重い…
「もー!時間、間に合わねえっ…車出すぞっ!」
「えっ…ちょっ…」
いつの間にか潤が外にいて、僕の足を乱暴に車内に突っ込んだ。
「ぐええええええ…」
上に載ってる雅紀が、僕の上半身の方に倒れ込んできて、足は折れ曲がった。
その瞬間、車のドアは閉じられた。
「へ…?」
雅紀も僕の上で、呆然としてる。
運転席に潤が戻ってくると、車はすぐ発進した。
ガクンと車が揺れて、すごいスピードで学校の敷地を出た。
「じゅっ…潤!待てっ!国境に着く前に、天国に着いちまう!」
「近いからって、ギリギリの時間に設定すっからだろ!智の鼻、ちゃんと押さえてろよっ…」
「は、鼻もげるだろうがっ!」