第19章 The branched story1
「ニノが寂しがってると思って、早く帰ってきてみたら…さぁとしぃ~!」
「うわああっ…翔っ…ごめんっ…」
素っ裸のまま、智は部屋を逃げ回ってる。
「抜け駆けしやがってー!」
「だからごめんてぇっ…」
僕は呆然とその光景を見ていた。
「ニノっ…早くシャワーしてこいっ…腹痛くなんだろ!」
「は、はあい…」
「智もっ。あいつらが帰ってくる前にっ!」
「はっ、はいっ…」
智が起き上がろうとしたとき、翔が手を差し伸べた。
その手を智が握って立ち上がったら、翔がぎゅっと智を抱きしめた。
「…ありがとな…」
「うん…」
なんでか、翔は智にお礼を言っていた。
さっきまであんなに怒ってたのに。
なんでだろ??
「ほら、行って来い!」
僕たちは部屋を追い出された。
「さ、いくぞ!ニノ!」
智は僕のこと抱っこしてくれて、風呂小屋までダッシュした。
お水のシャワーで身体を洗い流して、僕のお尻も洗ってくれた。
「はあ~…気持ちいいな!ニノ」
「うんっ…」
まだ夕方にもなっていなくて。
おひさまは高いところに居て。
こんな時間にシャワーをすることはあんまりなかったから、気持ちよかった。