第19章 The branched story1
「ニノ、好きだよ…」
「うん…智、大好き…」
抱き合いながら、また僕たちはひとつの塊になった。
「あっ…あぁ…さと、し…」
「ニノ…」
ゆっくりと動く智から、汗がポタポタ落ちてくる。
僕の身体もじっとりと汗で濡れた。
それほど長く、僕たちは繋がり続けた。
「も、ニノ…俺…」
「うん…僕も…」
ゆっくりと登った頂きは、すごく広くて。
僕たちは互いの体を抱きしめながら、そこまで一気に上り詰めた。
「あっ…あああっ…智っ…」
「ニノっ…」
じんわりと、身体の奥に熱が広がった。
温かい…智の、体温。
「ニノ…」
荒い息を吐き出しながら、智は僕にキスしてくれた。
「好きだよ…」
「好き…智…」
汗まみれになりながら、僕たちはぎゅううっと抱き合った。
とても、とても…
しあわせだった
「起きろ」
なんか、すごく凶暴な翔の声が聞こえた気がした。
「うう~ん…」
なんか、すごく怖い声だったから、聞かなかったことにしよう。
「ごらっ!起きろ、このっ…!」
「うわああっ…」
智の叫び声が聞こえたかと思うと、隣からぬくもりが消えた。
「…あれ…?」
目を開けたら、ものすごい怖い顔をした翔が僕たちを見下ろしていた。