第19章 The branched story1
給食室のテーブルの上には、雅紀が慌てて作ったおにぎりが4つ並んでいた。
「ニノ…」
「うまく…行かないんだね…」
「ごめんな…俺しか居なくて…」
「あっ…ちがうの!ちがう…」
「わかってる」
そーっと智は僕のこと引き寄せて…
抱きしめてくれた。
「みんなで…ニノの家族で…過ごしたかったんだよな…?」
「うん…」
智の言葉は、とてもゆっくりで。
僕にお説教してるわけでもなく、同情してるわけでもない響きだった。
僕のこと、理解してくれてる…
「ニノのやってることはさ、とてつもないことだって俺にだってわかるよ」
「智…」
「だからさ、この先こうやって前もって約束しないと、家族全員でのんびりする時間を持てないって…ニノはそう思ってるんだよね?」
「うん…」
智は…この仕事に関わっていないのに、でも僕がちょっと話すだけで、物事の本質を見抜いてしまうんだ。
本当は、誰よりも全体が見えていて、誰よりも全体のパワーバランスを取れる人なのに。
字が読めない、頭が悪いからって…
あんなに自信をなくしてるんだ。
「だから、悲しいんだよね…今日という日に、皆でのんびりできなかったことが…」
ああ…本当にこの人は…