第19章 The branched story1
立ち止まると、智を抱き寄せた。
「ニノ…」
「智…好きだよ」
「…うん…」
僕の腕の中の智は、ちょっとだけ震えた。
「雅紀が待ってる…いこっか…」
「うん…」
ぎゅっと智の手を握ると、一緒に歩きだした。
いつもより、智が握る力が強い気がした。
僕も、ぎゅっと握り返しておいた。
校舎に戻って給食室に行くと、雅紀がバタバタしてた。
「どうしたの?雅紀」
「うん。ちょとさ、C地区でゴタゴタあったみたい。翔も潤も居ないから、俺行ってくる」
「えっ…じゃあ俺も…」
「いい。智はニノと居て。昼ごはん食べさせてあげて?ニノにあんな危ないとこ行かせらんないから」
「雅紀!だめだよ。一人で」
「大丈夫、城島さんたちと一緒に行くから。日本国側にも通達してあるから、おっつけ軍部来ると思うし。だから、ここに待機しててね」
雅紀は僕の前にくると、ちゅっと額にキスした。
「ニノは俺たちの象徴なんだろ?だから、ここでふんぞり返っててよ」
「雅紀…」
翔と潤が戻ったら、すぐにC地区にいくように伝えてと、雅紀はおにぎりをひっつかんで出ていった。
「うそ…なんでぇ…?」
「ニノ…」
「今日は…5人でゆっくりする日だったのに…」