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SHELTER【気象系BL小説】

第19章 The branched story1


ぐずっと鼻をすする音が聞こえた。

「智が、才能ないだなんだ言う度に、好きだなって思ってる人のこと、否定してるんだよ?」
「だって…」
「僕さ。死んじゃったけど…KAZUとしてA地区で歌ってた時、自分の才能を褒められたら、否定したりはしなかったよ」
「だって…ほんとに才能あるじゃん…」
「それはね、たくさん支えてくれる才能ある人達のお陰でもあったんだよ?僕だけの力じゃない」

ぐっと握った手を引き寄せて、智と並んで歩いた。

「プロデューサーさんや、エンジニアさん…アレンジャーさんや、レコード会社の人たちの力でもある。でもさ、その人達が支えてくれたのは、僕の作るものになにか魅力を感じてくれたからだと思う」

智の方を見ると、僕を見上げた。

「だからね。僕が卑下なんかしたら、そういう人たちのこと、全部否定することになるの」
「ニノと…KAZUと俺を一緒にするなよ…」
「一緒だよ。もしも智がA地区でデビューしてたら、僕以上の歌い手になってたんじゃないかなあ」
「そんなこと…」
「うん。そんなこと、わかんない。わかんないけど、いつか…僕がそれを証明してみせるよ」
「…え?」
「A地区もB地区もなくなった、その時…証明するよ」

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