第19章 The branched story1
「なんか…首が痛え…」
「そう?寝違えちゃったのかな?」
翌朝、首を硬直させながら翔が顔を洗ってる。
「しっぷでも貼っておく?」
「いや、寝違えたのなら冷やしちゃいけないから…このままでいいや」
雅紀が心配そうに翔を見ているのをみて、ちょっと良心が痛んだが、黙っておこう。
「ニノ…」
「ん?」
「何ニヤニヤしてんの?」
智が小さな声で聞いてくるから、思わずギクリとした。
「なぁんか、したんでしょ?翔に…」
「べ、べつに?」
慌ててごまかしてみたけど、智ってこういう勘が鋭いんだよね…いつもは凄く鈍いのに…
人のことよく見てるよね…ほんと。
「やっぱ、いびき…うっさいよね?」
コソコソと言われたら、もう認めるしかなかった。
「うん…うっさかった…」
「ぶぶ…」
「だから…首を横に向けたら気道が舌で塞がらないから、横向けたら…グギって音した…」
「ぶぶぶぶぶっ…」
二人で、ロボットみたいな動きの翔を見て笑い転げた。
「朝っぱらから元気だなおまえらは…」
潤は呆れたように僕たちの首根っこを持って、リビングまで引きずっていった。
「だあって…ニノ…」
「だって…智…」
くすくす笑ってまともに喋ることもできなかった。