第18章 The beginning of the story8
ズルリと指が抜け出していった。
途端に身体から力が抜けて、また布団の上に突っ伏した。
「ごめん…」
そこに熱い塊が押し当てられた。
何を謝ってるんだろ
なんで謝ってるんだろ
そう思ってたら、メリっとその塊が俺の中に入ってきた。
「翔…」
それが潤のだと気づくまで、時間がかかった。
「潤っ…」
苦しい。
今まで感じたことのない苦しさ。
そして、熱い…
ゆっくりと俺の中を登るように潤が入ってくる。
痛みも圧迫感も、いっぺんにやってきて。
ぎゅっと布団を掴んだら、その上に手が重ねられて。
後ろから抱きしめるように潤が覆いかぶさってきた。
「ごめん…苦しいよね…?」
潤の声も苦しそうだった。
「痛いよね…」
労るように俺の手を握った。
「だい…じょぶ…」
俺の中に、潤が居る。
繋がってる…
あんなところに、あんなものが入ってるんだけど…
不思議と安心して。
俺、やっと…
ちゃんと、家族になった
涙が勝手に出てきて。
布団が濡れて、冷たくなってくる。
「翔…?痛い、よね…」
違うんだよ。
痛いから泣いてるんじゃない。
肉体の痛みなんか、なんでもない。
ただ、嬉しいんだ。
もう、一人じゃないって…わかったから。