第18章 The beginning of the story8
「翔のこと、好きだから…俺、翔の気持ちに背くようなこと、できない」
「潤…」
「本当に翔が、心の底から俺に抱かれたいって思ってるんなら、喜んで…っていうか、すぐにでも抱く」
握った手は少し震えてる。
「でもね…身代わりでもいいって思ってる翔は、抱けないよ…」
…確かにそう思ってる
でもそれは
潤のことが───
だから、俺のことなんて…
「翔が…大事だから…俺、翔の気持ちが追いつくまで、待つよ…」
「俺の…気持ち…?」
俺の内面の問題…?
潤は、まっすぐに俺という人間を見てくれてるのに…
俺という人間を好きだと言ってくれてるのに…
俺が好かれているという……俺自身が好かれているという自信がないから?
だから身代わりでもいいって、思ってしまうのか?
それって…凄く、潤に失礼なんじゃないか?
潤が好きで居てくれる、俺自身を…
他の誰でもない、俺が…認めてないってことじゃないか。
パチリと、何かが俺の中で弾けた
「…ごめん…潤…」
「ううん…いいんだ…だから、今日は…」
離れていく身体を力任せにマットレスに倒した。
「うわあっ…」
力を込めて、潤の肩を握った。
「翔…?」