第18章 The beginning of the story8
オーッと吠える作業の人たちが異様に盛り上がって…
帰すのに一苦労した。
じゃあな、またなと皆帰っていく。
その後姿が目に焼き付いた。
「ふう…」
「お疲れ様」
潤が穴からひょっこり顔を出した。
「うわっ…ビビった…」
「くく…翔ってビビリだよな」
よっこらせっと穴から出てくると、ゴシゴシとズボンで手を拭った。
「ん」
「え?」
差し出された右手。
「握手、しようぜ」
「あ、ああ…」
ぎゅっと手を握ると、潤はニカっと笑った。
「翔のお陰で、これからは安全に避難できそうだ。ありがとう」
「そんな…礼なんて言うなよ」
「でも、翔が提案してくれなかったら、俺たち気づけなかったし…」
「うん…」
なんだろ…潤にこうやって見つめられると、じわじわと心があったかくなる。
今まで感じたことのない、感情。
「さ…風呂、入ろうぜ」
雅紀が今入ってるから、交代で潤と一緒に入る予定だった。
「あ、俺、智の様子見てくる」
「ああ…じゃあ、先に行ってる」
「うん」
潤と分かれて智の部屋に向かった。
あれから智は快方に向かっているが、体力の消耗が酷かったから、まだ部屋で寝かせてる。
「智ー?入るよー?」