第17章 The beginning of the story7
それからまた智には薬を飲ませて、眠って…
その間、雅紀が眠っていなかったから交代で眠って。
昼頃に雅紀が目を覚ます頃には、智の容態は大分落ち着いていた。
「どう…?」
雅紀が毛布を避けながら智の顔を覗き込む。
「うん。後一本点滴入れば、大丈夫だと思う」
「良かったぁ…」
「喉も膿んでないし…これなら切開する必要ないな…」
「ひえっ…」
缶詰の飯を食べながら、外の観察をしているけど、今日は銃声が一切聞こえてこなかった。
「もしかして…終わったのかな…」
「いやでも…今回は大分人数が多かったし…」
油断はできない。
「なんか…あったのかな…」
雅紀がそう呟くと、翔と目が合った。
小窓から差し込む小さな光が瞳に反射してキラキラしてる。
「…さあな…」
翔が呟くと、雅紀は小窓を閉めた。
…やっぱり…
あまり詮索はしないほうが良さそうだ。
「ほんと…良かった…二人が無事に帰ってきて…」
ろうそくを点けると、雅紀の嬉しそうな顔と翔の笑顔が浮かび上がって…
これで忘れようと思った。
翔が一体何者なのか、今追求してなんになる。
今ここにいる翔を…信用しよう。
俺たちのために、命をかけてくれた翔を…