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SHELTER【気象系BL小説】

第17章 The beginning of the story7


その日は結局銃声がどこからも聞こえなくて…

夕方頃、外を見ていたら軍部のやつらがウロウロしているのが見えた。

「おい…雅紀、終わったみたいだぞ」
「ええっ…嘘だろ!?早すぎるよ…!」

雅紀と翔が小窓に殺到した。

「えっ…ホントだ…あれ、軍部の奴らだ…」

通常、狩りが終わると軍の連中が、検分にやってくる。
大まかに被害を把握するためだと思う。
だから、軍の奴らの姿が見えるということは、狩りが終わったということになるのだ。

「まさかフェイクじゃないよね…?」
「フェイク?」
「いや、軍の連中に変装して俺たちをおびき出そうとか…」
「えっ…なにそれこわい」

翔と雅紀はじーっと外を見ていたが、突然大きな声を出した。

「あっ!シュウだ!」
「城島さんもいる…と、いうことは終わったんだ!」

えらくあっけない幕切れだった。

あれだけの重装備で、あれだけの人数で繰り出してきた狩りは、たった一晩で終わった。

こんなこと、初めてだった。


一体何が起こってるんだ…?


雅紀が喜んで隠し扉を開け放った。
智の熱が篭ったような室内に、涼風が吹き込んできた。

翔は俺の顔をじっと見ている。


俺たちは目を合わせたまま、暫く離すことができなかった。

深い泉の底のような翔の瞳は…


なにも俺には伝えてこない。


でも、それでもいいと思った。
だって、翔は翔だ。

俺の好きになった翔は、ここにいる。

俺が翔子のことを皆に話すことができなかったように、なにか翔にも言えないことがあって…

きっとそれは、時が来たら話してくれるんじゃないか

それは…いつになるのか、わからないけど…



微笑みかけると、翔も笑ってくれた。



「さ…地下の試し掘り、進めよ?」
「えっ…今日からやるの!?」
「俺には時間がねえんだよ!」
「鬼ぃ~!」
「鬼で結構だ」



【The beginning of the story7 END】
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