第17章 The beginning of the story7
二つの足は、翔とシュウのものだった。
「え…?どういう…」
「いいから…行って。この辺りは俺の縄張りだから。あいつらの好きにはさせない」
小さな声でシュウが囁くと、翔は俺の腕を取って走り出した。
「どっち」
「あ…こっちだ」
なんとか学校の柵に着いた。
無言のまま中にはいって、一気に3階まで駆け上がった。
隠し扉の前まで来ると、翔の提案で決めておいた合図のノックをした。
すぐに中から隠し扉が開いた。
滑り込むように中に入ると、雅紀が慌てて戸を閉めた。
すぐに電気ランタンで明かりをつけると、俺たちの顔を見て涙を流した。
「良かった…無事で…」
雅紀が俺と翔の身体をまとめて抱きしめた。
「雅紀…心配かけたね…」
翔が優しく雅紀の背中を擦る。
「俺も潤も無事だから…」
「うん…うん…良かった…」
生きた心地がしなかったんだろう。
雅紀の腕に入ってる力は強い。
翔はなんとか雅紀を宥めると、手をポリタンクの水で洗って、智の治療を始めた。
俺も手を洗って、すぐに翔の手伝いを始める。
「潤、カバン取って」
部屋の隅に置いていたカバンを翔の近くに置いた。
翔のカバンはずっしりと重く。
中にはたくさんのものが入ってた。