第17章 The beginning of the story7
シュウの家に無事にたどり着いた。
家は迷彩の大きな布に覆われて、木の枝や植物でフェイクしてあった。
なんとか入り口を探し当てて中に入ると、翔は床を叩いた。
「何してんだ?」
「シュウはここにいる」
「え…?」
下から床の扉が開いて、シュウが顔を出した。
地下から薄っすらと明かりが漏れている。
なるほどな…地下シェルター…だから、翔もあんなこと言い出したんだ。
「なんだ…兄貴か…」
「シュウ、俺のカバン」
「ああ」
シュウは一旦したに引っ込んで、また顔だけだした。
カバンを翔に渡すと俺の方を見た。
「…なんかあったのか」
「ああ…智が酷い熱で…」
「えっ…」
「翔がシュウの家にあるものならっていうから…」
「それで出てきたの…?このカバン取りに…?」
「うん」
「よく無事に来られたね」
「どうやら、あちらさんは休憩してるみたいだ…」
「ほおん…油断すんなよ」
シュウはもう一回引っ込んでから、また顔を出した。
「これ、持っていきな」
薬の瓶みたいなのに、黒い粒がいっぱい入ってる。
「にんにくのエキスだ。サトシに飲ませてやってくれ」
「お、おう…」
ぶっと翔が噴き出した。
「元気になったらな。今、飲んだら智の胃がひっくり返っちまう」