第17章 The beginning of the story7
部屋を明るくして外に出る準備を整える。
武器になるようなものは、ナイフしかなかった。
あいつらは飛び道具を持っているんだから、こんなもの役に立たないんだろうけど…ないよりかは安心できる。
「明かりは一切つけちゃだめだ…あいつらの標的になりにいくようなもんだから…」
「ああ…でも、暗視スコープを使ってるなら手はある」
「え?」
「暗視スコープを使ってる最中に、強烈な光源を真正面から見ると…目が眩む。補正機能はあるけど、時間は稼げる。その間に逃げるんだ」
「補正機能…?」
「ああ。補正が機能するまでには数秒ある。だから、もしも敵にコンタクトしたら、これを顔に照射してやればいい」
LEDの小型懐中電灯を俺の顔に向けた。
眩しくて目が眩む。
「翔…暗視スコープ使ったことあるの?」
「え?いや…でもそういう原理なんじゃないのかな?」
なるほどな…やっぱり頭の出来が違うのか。
「わかった…やってみる」
翔と俺、ひとつずつ懐中電灯を懐に入れた。
「これでいいな…」
余分な物は他には持てなかった。
なるべく身軽にしておかないと、逃げられないから。
「行こう」
雅紀を見ると、泣き過ぎて目が腫れていた。