第17章 The beginning of the story7
「雅紀…ごめん」
翔がまた頭を下げた。
「危険過ぎる…まだ朝のほうが…」
「このままだと、智、熱性けいれん起こすかもしれない。熱がただの扁桃腺炎にしては高すぎる…」
ぎりっと唇を噛みしめると、智の方を見た。
「薬を使って強引にでも熱を下げないと、脳に影響が出る…そうなったら…」
そうなったら…
ぞっとした
こんなところで…B地区で、一体どうなるのか。
「シュウの小屋に行けば…智を救えるんだ…」
「待って…待ってよ…保健室じゃだめなの?そんなとこまで行ったら…」
雅紀が泣きそうになっているが、のんびりしてられないのは翔の様子を見ていたらわかったから…
「翔、俺が行く」
「潤…」
多分、これが一番手っ取り早い。
俺が、行けばいい。
「シュウの小屋行って、何を持ってこればいい?教えてくれたら、俺が行く」
「だめだ。俺じゃないとわからないし…」
「じゃあ…2人で行こう?翔、まだ地理わかってないだろ?俺が誘導する」
しばらく黙り込んだが、翔が頷くのを見て雅紀が泣き出した。
「だめだよぉっ…今回はいつもよりも人数が多いんだからっ…」
「雅紀…雅紀は、智のこと頼むな」
「潤っ…」
ぼろぼろ泣いてる雅紀の肩を抱きしめた。
「頼むよ…雅紀…」