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SHELTER【気象系BL小説】

第17章 The beginning of the story7


「智、もう喋るな…」
「翔がいてくれたら…潤もあんしん…」
「智…」

雅紀も智の手を握った。

「俺がいなくても…あんしん…」
「智?」

すうっと智が息を吸ったかと思うと、そのまま意識を失った。

「智っ…智っ…!?」

雅紀が揺さぶってみたけど、智は戻ってこない。
荒い呼吸が事の深刻さを示していた。

智の首筋を触ったり口を開けて診察していたが、翔の表情が暗い。

「熱…相当高い…」

翔が立ち上がって電気ランタンを消すと、小窓を開けた。
じっと外を伺うと、俺達を見た。

「…今なら、行ける」
「翔…」

小窓を閉めて電気ランタンを付けると、改めて俺たちの方を向いて頭を下げた。

「俺、夜目は利くほうだから…だから、今、行ってくる。朝になったら、あいつらまた動き出すだろうし…」

夜明けまでまだ4時間ほどある。
この時間が、智にとってどれほどの影響があるのか、俺たちにはわからなかった。

わからなかったけど、智がこんな状態になるのは初めてみた。
だから…事態は深刻なんだろうとは予想がついた。

「向こうは暗視スコープを持ってる。暗闇でも自由に動ける…」
「うん…わかってる」
「今、銃声がしないとしても、俺たちを網に掛けようとどこかに潜んでるかもしれない」
「…うん…それでも、行く」
「わかった」
「潤っ…」

雅紀が俺の肩を掴む。

「だめだって…翔になんかあったらどうすんの!?」

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