第17章 The beginning of the story7
「ぶはっ…」
背後で雅紀が笑いだした。
「てめ…起きてたのかよ…」
じろりとそちらのほうを睨むと、雅紀は智を抱えながら必死に笑いを堪えてる気配がする。
「だ、だって…もう、おまえら中学生かよ…」
「ああん!?」
「も、もう…こんなん笑わないでいられるかよ…」
またぐふぉっと吹き出すと、ずーっと笑ってる。
闇に目が慣れてきて、大分部屋の中も見渡せる。
雅紀と智を包んでいる毛布が小刻みに揺れてる。
「しょ、翔が潤を誘惑するだなんて…ああ~もう…」
「えっ…俺、誘惑してた!?」
「あた、当たり前だろうがっ!こんな体勢で…あんなこと言われたら…こんな時じゃなきゃ、襲ってるわ!」
「う、うわぁ…ごめ…ごめん…」
「も、もうだめだぁっ…」
雅紀の笑いが止まらなくなって、智も目を覚ましてしまうし、もうなんだよお…
「みんな…たのしそう…よかった…」
電気ランタンを付けて水を飲ませていたら、智が微笑んだ。
「智も早く熱下げて…な?」
「うん…がんばる…」
智が脈をとってる翔の手を握った。
「智…?」
「翔のおかげだね…みんな、わらってる…」
「え…?」
「よかった…翔がきてくれてよかった…」