第17章 The beginning of the story7
「智…がんばれ…」
雅紀が智の髪を撫でながら呟く。
暫くすると、智の身体がガタガタ震えだして。
「翔、これ…」
「うん。身体が発熱して治そうとしてるから、熱は逃しちゃいけないんだ」
「じゃあ、温めたほうがいいんだね」
「俺、添い寝する」
なるべく薄着になって智を包む毛布に潜り込む。
智の身体は焼けるように熱くて…
「智…がんばれ…」
囁くと、少しだけ目を開けた。
「じゅ…ん…」
「ん…?」
「なおったら…いっぱいキスしてね…」
「ん…わかった…」
「あったかい…」
俺の胸に頭を凭れ掛けると、また眠りに落ちた。
暫くすると熱くて俺が汗まみれになるくらいだった。
「潤、交代する」
雅紀が代わってくれて、汗をかいた身体をタオルで拭いたがぐっしょりと濡れていた。
「俺がこんだけ汗かいてるのに…智ぜんぜん汗かいてない…」
「初期はそうなんだ…下降期に入ったら、今度は汗まみれになるから…こまめに着替えたほうがいいんだけど…」
「ああ…」
タオルと着替え…間に合うかな…
ろうそくの芯がジリジリと焼ける音が時々部屋の中に聞こえる。
智の息は荒い。
やがて、雅紀からも寝息が聞こえてきた。