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SHELTER【気象系BL小説】

第17章 The beginning of the story7


「智を思う気持ちは…俺たちも一緒だよ?翔…」

雅紀が立ち上がって、翔を床に座らせた。

「わかってる…」
「智も…翔を思う気持ちは一緒なんだからさ…お願い」
「雅紀…」
「行くんなら、明日。朝日が昇ってから、ね?」
「うん…」

なにもできなくてもどかしいって気持ちは、わかる。
A地区だったら救えた命は、B地区にはいっぱいあって。
ここに来て4年目だけど、俺もたくさん見てきた。

でも、その生命はA地区では不要なもので…

俺たちは、嫌な意味でそれに慣れてしまったけど。
医師である翔には耐え難いことなんだろう。

どうすることもできない
指の間から抜け落ちて散っていく命…

「みんな…無事なのかな…」

ぽつり、翔が呟いた声は掠れていた。


深夜になって、ますます智の熱は上がった。
やっぱり翔の見立て通り、扁桃腺炎になっている。

「智、水…」

ずっと眠っているけど、目を覚ましたら水をどんどん飲ませる。

「汗をたくさんかかないといけないからね?」

そう翔が言うのに、なんとか頷いているけど、智はもう口をきくこともだるいみたいだ。

「もういい…」

少しだけ水を飲むと、智はまた目を閉じた。

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