第17章 The beginning of the story7
「でも、智…」
「死なないよ、こんくらいじゃ…丈夫にできてるんだから…」
そう言って強がってるけど…
智は熱に弱いんだよな。
「翔、ここにいて…?」
潤んだ目で智が見上げると、翔はぎこちなく智を抱きしめた。
ロボットみたいな動きで、思わず雅紀と目を合わせた。
「こうしてるから…智、眠って?」
「うん…」
甘えるみたいに翔の胸に額をこすりつけると、智は目を閉じた。
翔は暫く智の寝顔を見ていたけど、俺たちの方を見て「しまった」って顔をした。
「ぶっ…」
「ちょっ…わ、笑うなよっ」
「だって、翔の顔…」
智が寝ているから、声を押し殺して雅紀と笑った。
「う…うるせー…」
翔の声も弱々しくて、更に笑った。
「俺もやってみたかったんだよ…」
「え?」
「智と雅紀の真似しただけだからなっ…」
そう言って不貞腐れてしまった。
「真似って…」
「うっさい!」
雅紀がにやっと笑って俺を見た。
「あ~…初めて翔がここに来た時のことか~」
「え?」
「潤のこと看病してる俺たちの真似したんだ」
「あ…」
そっか…あの姿が羨ましいって言ってたよな。
「でもあんなカチコチだっけ?」