第17章 The beginning of the story7
翔は小窓からずっと外を見ている。
絶え間なく聞こえる銃声は、俺たちを無口にした。
夜になっても、銃声は響いていた。
時々、翔が外を見てはため息をついている。
「今回は相当な人数が出てきてんだな…」
「ああ…どうしようもないな…」
人間が人間を殺して快感を得るなんて理解できない。
頭がおかしいんだ。
「智?」
雅紀が横になっている智を抱き起こした。
「智、ねえ…」
「どうした?」
電気ランタンの明かりを付けると、二人に近づいた。
「なんか呼吸が荒くて…身体、熱いかも…」
「だいじょうぶだよ…」
そう言ってるけど、声が弱々しい。
智の額に手を当てると、熱い。
「風邪ひいちまったか…?」
「ちょっと見せて」
翔が智を雅紀から受け取って床に寝かせた。
「関節痛い?」
「少し…」
智の首筋を触って、翔は考え込む顔になった。
「熱、上がるかも知れない…」
「え?」
「扁桃腺が腫れてる」
「寝てれば治るから…だいじょうぶ」
「抗生剤…保健室にあるから、取ってくるよ」
銃声が近くで響いてる。
「駄目だよ…今、狩りのやつら、近くにいる…」
智は翔の腕を握って上半身を起こした。
「こんなのいつものことだから…だいじょうぶ…」