第17章 The beginning of the story7
翔は焦りながら俺たちの顔を見た。
雅紀が後ろで手を振ってる気配がする。
それを見て、ちょっと翔の表情が緩んだ。
でも助けに行かないと…
って、思ってたら
「残念だな。俺、ここの人たちの専属だから」
え…?
「なぁんだよ!潤、もう唾つけたのかよ!」
「それならそうと早く言えよな!俺、ずっとセンセーのこと狙ってたんだぞ!」
ガーガー言ってる皆に向かって、翔はぺろっと舌をだした。
「なんだよ!クソかわいいじゃねえかよぉぉぉ」
もっこを作ってる連中は床にのたうち回った。
「お…おい…?」
呆然としてると、雅紀が笑いだした。
「オラオラ…そういうことだから、早く仕事する。サボったら昼飯抜きだよ?」
笑って鬼なこと言いながら、俺のそばを離れていった。
翔に近づいて、肩にぽんと手を置くとそのまま教室を出ていった。
「潤…」
「お、おう…」
「ちょっと保健室に欲しいものあるんだけど…って、どうしたの?」
「え?あ…いや、なんでもない…」
そっか…通過儀礼…
翔が自分自身でここに馴染んで貰わないと、この先翔が動きにくいってことか…
雅紀め…
あんななんでもない顔して、いつもそうやって人のこと輪に溶け込めるようにフォローするんだよなぁ…