• テキストサイズ

SHELTER【気象系BL小説】

第16章 The beginning of the story6


俯いてる俺の手を翔がぎゅっと握った。
驚いて翔の顔を見ると、真剣な顔をしている。

「俺は、気にしてない」
「翔…」
「むしろ…羨ましいと思った」
「え?」
「…俺、家族の縁が薄くて…弟のシュウもB地区に入れられてしまうし、A地区では身内は居ないも同然で…」

少しだけ言葉を飲み込んで。
何かを考えているようだった。

「B地区に忍び込んできて…潤たちと出会って…3人見てたら、家族みたいだなって思って…」

ぐしゃっと俺の手を握ったまま、髪をかきあげた。

「…ごめん、俺も上手く言えないんだけど…なんていうか…あっちじゃ感じられなかった、家族ってもんが…ここにはある気がして」

いつの間にか教室の戸が開いていて、雅紀と智が戻ってきていた。

二人はじっとこっちを見て翔の話を聞いている。

「潤の過去に辛いことがあったのは、なんとなくわかってたけど…でもそれでも俺は…」

翔は俺の顔を見た。
そして、立っている雅紀と智の顔を順番に見た。

「不謹慎かもしれないけど、羨ましいと思ったんだ…」
「翔…」
「潤が俺を見て何かを思い出して苦しんでるってわかってても…ここに来ることをやめられなかった」

/ 483ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp