第16章 The beginning of the story6
「翔が…かわいいと思ったんだ」
「じゅ…潤…」
「ごめん…男に向かってかわいいとか…でも、上手く言えないけど…翔のこと、嫁に似てるからとかじゃなくて…」
やべ
顔真っ赤になってきた
「好き…に、なったんだと思う」
「…う、うん…」
お互い真っ赤になって、でも目を逸らせなかった。
「翔に余計な気を使わせてしまって…すまなかった」
「い、いいんだよ!だって…そっくりなんだろ?」
「うん…双子かってほど似てる」
「そっか…そりゃ、びっくりするよね…」
「まあね…最初は、そりゃ…」
やっと少し緊張が解けて、手に目を落とした。
「でも…嫁と娘は死んだんだ」
最近やっと、そう思えるようになった。
B地区に来てからも、塞がり切ってない傷口から血が流れ続けるように、ずっと忘れられなかったけど…
やっと最近、受け入れられるようになった。
「こんなこと言うと、翔には気分悪いかもしれないけど…翔に出会って、やっとそれを受け入れられるようになったっていうか…」
「そっか…」
「ごめん。別に翔が嫁に似てるからじゃないってこと、説明したかっただけなんだけど…上手く言えなくて…」
「謝んなよ…言いたいことは、わかったから」