第16章 The beginning of the story6
「潤…今日は、休もっか…」
「え…?」
雅紀が微笑んで立ち上がった。
「飲もう。4人でさ…」
「雅紀…」
ぽろっと雅紀の目から涙が零れ落ちた。
「今日はもう、休みにして…一晩中飲もうよ、ね?」
そう言うと、智の手を取って立ち上がらせた。
「智。一緒にお店に張り紙しに行こう?」
「うん…」
「ちょっと、待ってて。お酒持ってくるよ」
「ああ…」
手を繋いで二人は部屋を出ていった。
「翔…」
「ん…?」
「確かに翔は、俺の嫁にそっくりだ…っていうか、実は血縁があるんじゃないの?ってくらい思ってる」
「うん…調べてみる」
「いいや、違う。そんなことはもう、どうでもいいんだ…」
「え…?」
「俺は…ごめん、上手く言えないんだけど…」
身体を翔に向けて、まっすぐに見つめた。
「俺は、翔が嫁に似ていようがいまいが…もう関係ないんだ」
本当に…こんな話をしてしまった後で、どう上手く伝えられるんだろう。
でもちゃんと話して、わかってもらわないといけないって思う。
「別に彼女のことを忘れたとかそういうことじゃない。娘のことだって…」
「うん…それは、わかるよ…」
「ただ、翔のことは…その、そっくりだからってキスしたわけじゃない」
「えっ…?」